先日、スマホに知らない番号から電話がかかってきました。出てみると、とても感じのいい女性の声。「お世話になっております、〇〇サービスの者ですが」と、間の取り方も相づちも自然で、思わず「はい、はい」と返事をしていました。
数十秒たってから、ふと気づいたんです。「これ、ひょっとして機械の声ちゃうか?」と。
確信はありません。ただ、その瞬間まで、私は完全に「人」だと思って話していました。この感覚が、今回の記事のテーマです。
声は、もう「本物の証拠」にならない
少し前まで、機械の声といえば、どこか平坦で、抑揚がぎこちなくて、聞けばすぐに分かるものでした。カーナビの案内や、駅のアナウンスの合成音声を思い浮かべると分かりやすいと思います。
ところが今は違います。
- 息継ぎの音まで入っている
- 言いよどみや「えーっと」まで再現される
- 笑い声や、ちょっと困ったようなトーンも出せる
- 本人の声を数秒聞かせただけで、そっくりな声が作れるサービスもある
こうなると、「声が自然かどうか」は判断材料としてほとんど意味を持たなくなってきます。
実際に困りそうな場面
聞き分けられないことが、日常でどう影響しそうか。私なりに考えてみました。
1. 電話や留守電
家族や知人の声を真似た詐欺の話は、ニュースでもよく見かけるようになりました。声が似ているというだけで、つい信じてしまうのが人間です。
2. 動画やナレーション
解説動画のナレーションが、実はAIの声だったというケースはもう珍しくありません。丁寧で聞きやすいぶん、気づかないまま見ている人も多いはずです。
3. 音声の記事やラジオ
ブログを読み上げてくれる機能も、年々自然になっています。「誰が読んでいるのか」を意識しないまま、情報を受け取る場面が増えました。
じゃあ、どうすればいいのか
「聞き分ける力を磨こう」と言いたいところですが、正直なところ、耳だけで見抜くのはもう厳しい時代やと思います。大事なのは、聞き分けることよりも、声以外のところで確かめる習慣ではないでしょうか。
- お金や個人情報の話が出たら、一度電話を切って、自分から公式の番号にかけ直す
- 家族とは「合言葉」を決めておく
- 「急いで」「今すぐ」と焦らせてくる話ほど、立ち止まる
- 動画や音声の出どころ(誰が発信しているのか)を確認する
どれも地味ですが、声そのものが信用できなくなった今、いちばん頼りになるのはこういう小さな習慣やと感じています。
「人の声」の価値は、むしろ上がるのかもしれない
一方で、こんなことも思いました。
誰でも自然な声が作れるようになれば、逆に「この人が、自分の口で、自分の言葉で話している」ということの価値は、上がっていくんちゃうかなと。
多少つっかえても、言い直しても、声が裏返っても、そこにいる人が自分の気持ちで話している。完璧に整った声よりも、そういう不完全さのほうが、これから先は「本物らしさ」として響く気がします。
大阪のおばちゃんが、飴ちゃんを差し出しながら話す、あのとりとめのない世間話。あれはAIにはなかなか再現できへんやろな、とも思います(いや、いつか再現されてしまうのかもしれませんが)。
まとめ
- AIの声は、もう耳だけでは人の声と区別がつかないレベルまで来ている
- 声の自然さは「本物の証拠」にならなくなった
- お金や個人情報が絡む場面では、声以外の方法で必ず確認する
- 完璧な声があふれるからこそ、不完全な「人の声」の温かさが際立つかもしれない
便利さと怖さが、同じ技術の表と裏にある時代です。うまく付き合いながら、大切な人の声は、ちゃんと大切にしていきたいですね。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます
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