ふとした瞬間に、ぞわっとすることがあります。
何を買おうか迷っていたら、スマホの画面にまさにそれが出てくる。誰にも話していない悩みを、検索窓に打ち込む前から「こちらもおすすめ」と差し出される。AIに質問を投げかけたら、聞きたかったことの一歩先まで答えてくれた。
便利です。助かっています。それなのに、どこか背中が冷たい。
今日は、その「不気味さ」の正体について、ゆっくり考えてみたいと思います。
「先に知っている」ように見えるだけ
まず、落ち着いて整理したいことがあります。
AIが私たちの頭の中を読んでいるわけではありません。多くの場合、あれは「予測」です。過去の膨大なデータから、「こういう状況の人は、次にこう考えやすい」というパターンを見つけて、確率の高い答えを出しているだけです。
占い師が「最近、少しお疲れではないですか?」と言うと当たった気がするのに似ています。多くの人に当てはまることを、自分だけに向けられた言葉として受け取ってしまう。そこに、私たちの心の癖も加わります。
当たったときは強く印象に残り、外れたときはすぐ忘れる。だから「なんで知ってるの?」という記憶ばかりが積み上がっていきます。
それでも不気味に感じる理由
とはいえ、「仕組みを知れば怖くない」と言い切れないのも本音です。不気味さには、ちゃんと理由があると思っています。
1. 自分の心の中に、他人が入ってきた感覚がある
考えや迷いは、本来とてもプライベートなものです。そこに先回りされると、自分の内側に誰かが立っているように感じます。
2. 「選んだ」のか「選ばされた」のか、境目が曖昧になる
おすすめされたものを選んだとき、それは自分の意思でしょうか。それとも、そう誘導された結果でしょうか。答えが出ないまま、モヤモヤだけが残ります。
3. 理由が見えない
人間の勘なら「なんとなく」と説明できます。でもAIは、なぜその答えに行き着いたのかが、私たちからは見えません。見えないものは、どうしても怖くなります。
先回りされると、人は少しだけ心を閉じる
面白いなと思うのは、先回りされること自体は、本来うれしいことのはずだという点です。
気の利く友人が「たぶんこれ、欲しかったでしょ」とお茶を出してくれたら、きっと温かい気持ちになります。違いは、相手の顔が見えるかどうかかもしれません。
友人なら、どうして気づいたのか聞けるし、外れたら笑って済ませられます。でもAIの先回りには、顔も表情もありません。なぜそう思ったのか、聞き返せないまま、答えだけが目の前にある。
この一方通行の感じが、不気味さの正体の、いちばん大きな部分ではないかと思います。
不気味さと上手につき合うために
では、どうすればいいのか。私は、難しいことは考えず、次の3つだけ意識しています。
・「当たった」ときこそ、一度立ち止まる
偶然かもしれないし、自分の行動が予測しやすかっただけかもしれません。驚いたあとに、少しだけ冷静になる習慣です。
・おすすめを、そのまま受け取らない
「候補のひとつ」として眺めて、最後は自分で決める。決める場面だけは手放さない。これだけで、選ばされている感覚はかなり薄れます。
・見せたくない情報は、最初から渡さない
AIが先回りできるのは、私たちが材料を渡しているからです。何を入力し、何を共有するか。ここは自分でコントロールできます。
おわりに
「AIが先に答えを知っている気がする」。その感覚は、きっとこれから先、もっと増えていくのだと思います。
でも、不気味さを感じられるということは、「自分の考えは自分のものでいたい」という感覚が、ちゃんと生きている証拠でもあります。
その感覚があるうちは、きっと大丈夫です。
便利さを楽しみながら、ほんの少しの違和感も大切にしていく。そのくらいの距離感が、AIと一緒に暮らす時代のちょうどいい歩き方なのかもしれません。
あなたは最近、「なんで知ってるの?」とぞわっとしたこと、ありましたか。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます
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