ふとした思いつきだった。
自分の中で「あそこはブラックだよな」と思っている会社の名前を、何気なく検索してみた。
きっと、「やばい」とか「きつい」とか「辞めた方がいい」とか、そういう言葉が並ぶんだろうなと、どこかで期待していた。
でも、出てきたのはまるで違う世界だった。
「働きやすい環境」
「成長できる職場」
「やりがいのある仕事」
……え?と思った。
口コミを見ても同じだった。
「人間関係が良い」「スキルが身につく」
まるで、どこかの理想の会社の紹介ページみたいだ。
「なんだこれは?」
思わず声に出そうになった。
自分が知っている現実と、あまりにもかけ離れている。
あの長時間労働も、あの理不尽も、あの空気の重さも、どこにも存在していない。
しばらく画面を見つめながら考えた。
もしかして、と思う。
グーグルというのは、企業のイメージを悪くするような言葉を、ある程度整理してしまう仕組みがあるのかもしれない。
もちろん全部ではないだろう。
でも、少なくとも「表に見える部分」は、かなり整えられている気がする。
それがユーザーアビリティというものなのかもしれない。
不快な情報よりも、安心できる情報を優先する。
検索した人が嫌な気持ちにならないように。
企業にとっても、ユーザーにとっても、角の立たない形に整える
。
確かに、それは便利だ。
でも同時に、少しだけ怖さも感じた。
本当の情報は、どこにあるんだろう。
検索結果の奥の方か、それとも誰かの小さな声の中か。
画面を閉じたあとも、なんとなく引っかかるものが残ったままだった。
便利さの裏側で、見えなくなっていくもの。
それに気づいてしまった夜だった。
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