先日、なんとなく検索したものが、翌日には広告としてスマホの画面に並んでいた。それだけなら「まあ、そういうものか」で済む話だ。でも、時々もっとゾッとする瞬間がある。自分でもまだ言葉にできていない気分や興味を、AIの方が先に形にしてくることがあるのだ。
たとえば、なんとなく疲れていて、何をしたいのかも自分でわかっていないときに、動画サイトのおすすめ欄が妙にしっくりくる映像を並べてくることがある。「今のあなたにはこれが合う」と言われているようで、少し複雑な気持ちになる。自分の気分すら自分より先に読まれているような、そんな感覚だ。
これはたぶん、AIが「賢い」というより、「見ている量が桁違い」なだけなのだと思う。人間は自分の行動をいちいち覚えていないし、傾向として捉えることもしない。でもAIは、クリックした時間、滞在した秒数、検索した順番、そういう細かい断片を全部拾って積み上げていく。一つ一つは大した情報じゃなくても、集まれば「その人らしさ」みたいなものが浮かび上がってくるのだろう。
自分を理解するというより、自分の「行動パターン」を理解しているだけ。頭ではそう分かっていても、それが妙に当たっていると、まるで心を見透かされたような気になるから不思議だ。
こういう瞬間に少し怖さを感じる一方で、便利だなと思う自分もいる。探していたものにすぐたどり着けたり、思いがけない発見があったりするのは、間違いなくこの「先読み」のおかげだ。
結局のところ、AIが分かっているのは「自分」そのものではなく、「自分がこれまでに残してきた痕跡」なのかもしれない。だとすれば、少し安心できる気もする。今日の自分がどう変わるかは、まだAIにも分からないはずだから。
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