ハッカーと聞くと、暗い部屋で何台ものモニターに囲まれ、猛スピードでキーボードを叩く人を思い浮かべませんか。
専門的な知識を長年積み上げた、ごく一部の天才だけができること。少なくとも私は、そんなイメージをずっと持っていました。
ところが最近、そのイメージが少しずつ崩れてきている気がします。
「難しい」が守ってくれていた時代
これまで不正アクセスやサイバー攻撃が世の中にあふれなかった理由のひとつは、シンプルに「難しかったから」だと思います。
仕組みを学ぶだけでも時間がかかりますし、実際にやろうと思えば、さらに経験が必要です。やる気があっても、途中で挫折する人がほとんどだったはずです。
つまり、「技術的なハードルの高さ」が、私たちを知らないうちに守ってくれていたわけです。
AIが、そのハードルを下げ始めている
そこに現れたのが、生成AIです。
文章を書く、プログラムを組む、調べものをまとめる。これまで時間と経験が必要だった作業を、AIは数秒でこなしてくれます。便利になった一方で、これは「専門家だけの領域だった作業」が、誰にでも届く距離に近づいたということでもあります。
もちろん、主要なAIサービスには悪用を防ぐための制限がかけられています。それでも、世の中には「詐欺メールの文面が自然な日本語になった」「怪しいメッセージの見分けがつきにくくなった」という話が出てきています。
昔の詐欺メールは、日本語がどこかぎこちなくて、「これは怪しい」と気づける手がかりが残っていました。その手がかりが、少しずつ消えていっているのです。
「才能」より「やる気」が試される時代に
ここで私が感じているのは、悪意を持つ人にとって必要なものが「才能」から「やる気」に変わっていくかもしれない、ということです。
才能がなくても、AIに手伝ってもらえるなら、あとは「やるかどうか」だけになります。これは考えてみると、かなり怖い変化です。
もちろん、この流れは攻撃側だけの話ではありません。守る側にも、AIという強い味方がつきます。怪しい動きを素早く見つけたり、弱点を先に洗い出したりと、防御の世界でもAIの活躍はどんどん広がっています。
つまり、これからは「攻撃する側も、守る側も、みんなAIを使う」時代になっていくのだと思います。
私たちにできる、ごく普通のこと
では、ごく普通に暮らしている私たちは、何をすればいいのでしょうか。
特別なことは必要ないと思っています。むしろ、基本をていねいに続けることが、いちばん効くのではないでしょうか。
- パスワードを使い回さない
- 二段階認証を、面倒がらずに設定する
- 知らない相手からのメッセージやリンクは、いったん立ち止まって疑ってみる
- ソフトやアプリの更新を後回しにしない
どれも「そんなこと知ってる」と言いたくなるものばかりですが、攻撃する側のハードルが下がるほど、守る側の「当たり前」を抜けなく続けることの価値が上がっていくと感じています。
おわりに
ハッカーという言葉に、ちょっと遠い世界の出来事のような印象を持っていた私ですが、才能がいらなくなる時代が来るかもしれないと考えると、一気に自分ごとに思えてきました。
怖がりすぎる必要はありません。でも、「自分は狙われないだろう」という気持ちだけは、そっと手放しておきたいと思います。
今日のうちに、使い回しているパスワードがないか、ひとつだけ見直してみませんか。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます
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