名前を出さなくても、
言葉は外に出ていく。
顔も、肩書きも、過去も伏せたまま、
ただ一文だけが世界に放たれる。
匿名は、自由だ。
本音を書ける。
弱さも、怒りも、
誰にも知られずに吐き出せる。
でも同時に、
どこか無重力のようでもある。
重さのない言葉は、
ときどき思った以上に遠くまで飛ぶ。
そして誰かの心に、
深く刺さることもある。
匿名と責任のあいだで、
私は立ち止まる。
この一文は、
誰かの夜を少し暗くしないだろうか。
この皮肉は、
自分の寂しさを隠すためではないだろうか。
本名だから誠実とは限らない。
匿名だから無責任とも限らない。
大切なのは、
名前ではなく、
その向こうにいる人を想像できるかどうか。
画面の向こうにも、
眠れない夜を過ごす誰かがいる。
朝早く起きる誰かがいる。
傷つきやすい心を抱えた誰かがいる。
匿名と責任のあいだで、
揺れながら言葉を選ぶ。
自由を守るために、
少しだけ慎重になる。
それは窮屈ではなく、
人と人のあいだに立つための、
小さな覚悟なのかもしれない。
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