2026年2月28日土曜日

匿名と責任のあいだで

名前を出さなくても、
言葉は外に出ていく。

顔も、肩書きも、過去も伏せたまま、
ただ一文だけが世界に放たれる。

匿名は、自由だ。
本音を書ける。
弱さも、怒りも、
誰にも知られずに吐き出せる。

でも同時に、
どこか無重力のようでもある。

重さのない言葉は、
ときどき思った以上に遠くまで飛ぶ。
そして誰かの心に、
深く刺さることもある。

匿名と責任のあいだで、
私は立ち止まる。

この一文は、
誰かの夜を少し暗くしないだろうか。
この皮肉は、
自分の寂しさを隠すためではないだろうか。

本名だから誠実とは限らない。
匿名だから無責任とも限らない。

大切なのは、
名前ではなく、
その向こうにいる人を想像できるかどうか。

画面の向こうにも、
眠れない夜を過ごす誰かがいる。
朝早く起きる誰かがいる。
傷つきやすい心を抱えた誰かがいる。

匿名と責任のあいだで、
揺れながら言葉を選ぶ。

自由を守るために、
少しだけ慎重になる。

それは窮屈ではなく、
人と人のあいだに立つための、
小さな覚悟なのかもしれない。

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