2026年6月27日土曜日

スマホの通知が鳴らない朝

朝、目が覚めたとき、部屋はいつもより静かだった。

枕元に置いたスマホは、いつもの場所にある。
画面を触れば、ちゃんと明るくなる。
電池も残っている。
壊れているわけではない。

それなのに、通知が鳴っていない。

いつもなら、朝のどこかで小さな音がする。
誰かの投稿、ニュース、広告、アプリのお知らせ。
必要なものもあれば、別に今見なくてもいいものもある。

でも、鳴らない朝は少し不思議だ。

最初は、何か設定を間違えたのかと思う。
サイレントモードになっているのか。
通信が切れているのか。
アプリが止まっているのか。

確認してみると、特に問題はない。
ただ、何も来ていないだけだった。

その瞬間、少しだけ置いていかれたような気持ちになる。
ネットの世界では、誰かがずっと何かを言っているはずなのに、自分のスマホだけが静かに眠っている。

けれど、しばらくすると、その静けさが悪くないことにも気づく。

通知が鳴らないと、急いで画面を見る必要がない。
誰かの言葉に反応しなくてもいい。
ニュースの見出しに気持ちを持っていかれなくてもいい。

朝の時間が、少しだけ自分のものになる。

カーテンのすき間から入る光。
部屋の中の小さな音。
まだ動き出していない一日の空気。

普段は通知の音にかき消されていたものが、静かな朝には少しだけ見える。

スマホは便利だ。
誰かとつながれるし、知りたいこともすぐに調べられる。
退屈な時間を埋めてくれる。

でも、便利なものがいつも鳴り続けていると、鳴らない時間が不安になる。
何も来ていないことを、何か足りないことのように感じてしまう。

本当は、通知がない朝は失敗ではない。
誰にも急かされていない朝だ。
まだ何にも引っ張られていない朝だ。

スマホの画面を伏せたまま、少しだけぼんやりする。
すぐにネットを開かなくても、一日はちゃんと始まっている。

通知が鳴らない朝は、少し寂しい。
でも、その寂しさの中には、静かな自由もある。

何も届いていない時間。
誰にも呼ばれていない時間。

そんな朝にだけ、自分の心の音が少しだけ聞こえるのかもしれない。


ここまで読んでくれて、ありがとうございます

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